2017年02月20日

節税目的の養子縁組と、独占業務の壁について

みなさま、こんにちは。
FP勉強会運営スタッフ(公式サイト管理人)の佐藤です。

3週間ほど前ですが、節税目的の養子縁組が無効となるのかどうかの判決が、最高裁判所で出ました。
相続業界では注目された裁判ですが、最高裁によって「有効」と判断されました。
したがって「節税したいなら、養子縁組しよう」というアドバイスは法に触れることではないということが確定しました。

さて、私の関心は、節税目的の養子縁組が有効と判断されたことよりも、税理士が養子縁組を勧めることに問題はないのか、ということです。

 
養子縁組は、家族関係や、法的な身分関係、さらには既存の家族の財産権に変化をもたらします。
(養子が増えると、養子以外の子の法定相続分は減少する)
これは法律行為の一種であり、どちらかと言えば弁護士の業務領域にあたると思われます。

この裁判ではそれほど注目されなかったようですが、弁護士資格のない税理士が、家族関係を変えて節税を促すことは、独占業務の壁を超える行為となり問題になる可能性があります。

FPがアドバイスしている行為の中には、本来は弁護士免許が必要な内容、税理士免許が必要な内容が含まれているケースもあるでしょう。
今回のお話は税理士と弁護士との間のお話でしたが、FPも相談においては、独占業務の壁を超えるのかどうかの感覚を持ちながら、適正なアドバイスをすることが求められることを、改めて意識した次第です。

 
ちなみに養子が増えると、相続税の基礎控除が増えるため節税になると言われています。
実はそれ以外にも節税になる要因があります。
子が増えることで、一人当たりにかかる税率が計算上下がる可能性があるため、結果的に相続税の総額を引き下げられる効果があるのです。
(課税遺産総額が同じなら、子の人数が多いほうが相続税の総額は少なくなる可能性があります)

具体的な節税額は、子の人数や遺産額によりますが、養子の追加により子の人数が増えると、基礎控除+税率低下のダブル効果で節税になります。
ちなみに、もともと相続人の子の人数が少ないほど、養子縁組による税率低下の効果は高まります。
(相続人の子の人数が3人⇒4人となるケースより、1人⇒2人となるケースの方が節税効果は高くなる)
(気になったら、FP試験の過去問などを使って、実際にその違いを計算してみてください。ちなみに現在は、FP3級でも相続税額の計算が出題されています。)

このように、養子縁組は相続税が下げるメリットがありますが、場合によっては遺産相続でもめることにもなります。
養子が増えれば、既存の相続人の法定相続額が減りますからね。
今回の裁判も、この観点で訴えが提起された経緯があります。

養子縁組は、養親と養子の当事者間で契約でき、他の相続人の同意なども不要です。
なので養子縁組の際には、相続税のことだけでなく、あとあと円満な家族関係を築いていけるかも考慮して、決定することが望ましいですね。


【参考:ニュース記事】
節税目的の養子縁組「有効」、最高裁初判断 当事者の意思重視
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG31H5M_R30C17A1CC1000/

 

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■ 今後の勉強会の開催予定
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2016年12月24日

相続に関して、2つの最高裁判所の動き

みなさま、こんにちは。
FPスキル活用勉強会運営スタッフ(公式サイト管理人)の佐藤です。

ここ最近、相続に関して、最高裁判所の動きが注目されています。
最高裁判所の判断は、日本の国家ルールとなるものであり、今後の相続業界の常識にもなっていくものです。


一つ目は、養子縁組についてです。

【相続税対策の養子縁組、「無効」見直しへ 最高裁】
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG19HEF_Q6A221C1CR0000/

養子縁組の理由が相続税対策であるなら、その養子縁組を無効にするかどうか、という判断です。
高等裁判所では「無効」とされましたが、最高裁判所によって「有効」と判断される可能性が高まっています。
養子縁組をすると、法定相続人の人数を増やせる⇒基礎控除額を増やせる⇒最終的な相続税額を減らせる、という効果があります。
(相続税計算において、養子を法定相続人に加えられるのは最大で2人までです。無限に基礎控除額を増やせるわけではありません)

養子縁組の理由が、親子という身分を作るためなのか、それとも単に節税のためだけなのか、など理由によって有効/無効がわかれることになるかもしれません。
今後の判決で、その結果が出てくることになるでしょう。


もう一つは、預貯金の遺産分割です。

遺産分割が決裂して裁判所の調停などで遺産が分割されるとき、預貯金は法定相続割合で分割される、というのがこれまでの裁判所の判断でした。
しかし、そのように機械的に法定相続割合で分けるのではなく、きちんと遺産分割協議の結果に基づいて分けるべき、と最高裁判所の判決が出ました。

<最高裁>預貯金は遺産分割の対象 判例変更し高裁差し戻し
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161219-00000050-mai-soci

遺産分割協議が決裂したために法定相続分に基づいて分割されると、生前贈与を受けていた相続人が有利になったり、逆に被相続人に現金を生前贈与した相続人が不利になる、という問題がありました。
より公平な遺産分割を実現するためにも、このような不平等はなくすべき、と最高裁判所が判断をしたという経緯です。

しかし、この判断によって新たな問題も発生します。
これまで、金融機関は亡くなった人の口座にあるお金を相続人が引き出す時、遺産分割が確定していなくても法定相続割合までなら引き出しに応じてくれるケースもありました。(金融機関によります。遺産分割が確定しない限り引き出しに応じない金融機関もあります)

しかしこの判決を受けて金融機関は、今後、遺産分割が確定するまでは引き出しに応じなくなるとも考えられます。一部の銀行では、あらかじめ契約していれば、遺産分割前であっても一定の金額の引き出しに応じるサービスを始めています。時代のニーズに適合したサービスだと思いますが、このようなサービスを行っている銀行は数えるほどしかありません。
家族の死亡後に、葬儀などで急な資金需要も発生することがありますから、こういった事態に金融機関はどう対応し、また相続人側もどう準備しておけばよいのか、お互いに考えていかなければなりませんね。


FP試験でも相続について学びますが、あくまでも法律で定められた事項を勉強しているにすぎません。
世の中にある相続トラブルの種類は非常に多く、法律による解釈だけでは判断できないことも山のようにあります。

FP資格も活用し、相続に強い人材になるのであれば、こういった実務的なことをたくさん学んでいく姿勢も必要といえるでしょう。

 

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■ 今後の勉強会の開催予定
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次回は2月に開催を予定しています。
開催日時、場所が正式に決まりましたら、こちらでご案内いたします。

posted by FPスキル実践活用勉強会スタッフ at 19:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 贈与・相続・事業承継

2016年11月17日

相続財産に負債が含まれる場合の注意点

みなさま、こんにちは。
FPスキル活用勉強会運営スタッフ(公式サイト管理人)の佐藤です。

先日に開催した、FPスキル活用勉強会では、「負債の相続」を取り上げました。
今日は、この負債の相続をテーマにします。

 
FP試験で、相続について学習されたと思います。
相続財産の中に、現金や不動産などプラスの価値のあるものは当然のことながら、借金や連帯保証などの債務(マイナスの価値の財産)も遺産相続の対象となり、遺産分割協議でどうするかを話し合うことになります。

ここに知られざる落とし穴があります。
負債を誰が相続するかを遺産分割協議で決めたとしても、その債権者(お金を貸した人など)には関係ないことなのです。
お金を貸した側の人は、貸した相手が亡くなった後、その法定相続人に対して、法定相続割合分をそれぞれの相続人に対して請求することができるのです。これは、遺言や遺産分割協議結果によらず、認められているのです。

これは、負債は法定相続割合で相続されたものとみなされるからなのです。
例えば4000万円を借りていた父が亡くなった場合、相続人である母は1/2の2000万円の負債を相続したとみなされます。
また子供たちは残りの1/2である2000万円を人数で割った金額の負債を相続したとみなされます。
債権者(お金を貸した人)は、この相続割合に基づき、相続人に返済を請求することができるのです。

プラスの財産であれば、相続人同士で話し合ったように分割できますが、マイナスの財産はそうではない、ということになります。
もしマイナスの財産も自由に分割できるとした場合、お金を貸した側に都合が悪い事態になります。
例えば、資金力がないある一人の相続人に借金を意図的に相続させ、そのあとで借金を相続した人が自己破産をすれば、借金をもみ消すことができてしまいます。こういう事態になるとお金を貸した側が一方的に不利になることから、負債は法定相続割合で相続したとみなされることになっているのです。

相続財産に負債が含まれる場合は、この点に注意が必要です。
相続人間での協議で、ある相続人が負債を相続しないと決めても、その人は借金の返済を免れたことにはならないのです。

こういった相続における認識違いにより、あとあと借金返済のトラブルにならないためにも、可能であれば遺産分割前に負債は解消しておくことが望ましいでしょう。
先に負債を解消してから、残りの残額を遺産分割協議をするのも一つの方法ですね。
もちろん、限定承認や放棄も、選択の一つです。

皆様におかれましても、相続財産に負債がある場合には、十分に注意の上、遺産分割を行ってほしいと思います。
相続について誰かに説明したりアドバイスをする場合にも、参考にしてください。

なお、以上の内容は概略であり、負債の相続に関するポイントは他にもたくさんあります。
負債の相続に関するルールや実務上の対応方法は、なかなか奥が深いものです。
ここではすべて説明しきれませんので、負債相続に詳しくなりたい方は、相続に関する専門書で学習するなどしてみてくださいね。
より一層の学びが得られますよ。

 

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■ 今後の勉強会の開催予定
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●2016/12/11(日) 第7回 将来の教育費をもっと正確に見積もる方法

【姉妹サイト「ライフプランソフト活用勉強会」より】
●2016/12/11(日) 老後資金のチェックと、適切な生命保険の検討方法を学ぼう

※2つの勉強会ともに、同じ会場で時間を前後しての開催です。

・FP6分野の知識を、より実践的に活用していく知識・体験を得たい
・FP知識と技能を活かし、家族・知人・お客様の悩みを解決していきたい
・FPに関連した人脈を広げたい

とお考えの方にとってピッタリの、役に立つオススメの勉強会です。
皆様のご参加を、お待ちしています!

参加申し込み、勉強会の詳細はこちらから:
http://money-study.net/life-plan/session/
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posted by FPスキル実践活用勉強会スタッフ at 08:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 贈与・相続・事業承継

2016年09月05日

「上場株式の相続税評価を下げる」という税制改正案の使いどころ

みなさま、こんにちは。
FPスキル活用勉強会運営スタッフ(公式サイト管理人)の佐藤です。

相続税の評価において、上場株式は時価で評価することとなっています。
(厳密には、過去3ヶ月の平均価格も加味して低い金額を採用することになっていますが、以下ではこれの考慮も含めて「時価」と表記します)

先日のニュースで、この上場株式の評価方式を見直し、時価より低く評価するような(時価の70%〜90%ほど)税制改正を検討していることが報じられました。本日は、このニュースについて考えてみます。

 
相続税対策として、「賃貸不動産を購入する」というテクニックがあります。
その理由は、路線価が時価の80%程度に設定されており、また借地権割合と借家権割合を評価額から差し引けるので、時価よりも低価格で相続税の計算がなされることにあります。

不動産でこのように評価額を下げることができるので、昔から相続税対策として多くの人が用いている手法です。

 
ところで、なぜ上場株式の評価を下げようと国は考えたのでしょうか。
その理由は「不動産から株式に投資させる」ことにあるようです。
相続によって不動産に流れていく資金を上場株式に向かわせれば、株価を高くできます。
株価を高く維持できれば、国の経済発展の度合いも高まるように見えるので、そういったところを狙っているのかもしれません。

また、必要以上に不動産に資金が流れると、空き家を増やしてしまう原因にもなります。空き家をどうするかは、これから大きな問題になるでしょうから、その歯止めになる一面もあります。

 
さて、ここからは、相続におけるファイナンシャルプランニングの視点で考えていきます。
もし、上場株式の相続税評価額が下がるとなれば、相続対策として事前に現金を株式に変えるべきでしょうか?

私個人的には、積極的にお勧めはしないかなあ、と考えています。

その理由の一つは、税対策の目的でそもそも投資をすべきでないと考えています。
資産運用をするのであれば、その覚悟と知識を持ったうえで行うべきだと考えているからです。
株式は、その価値が安定していません。相続税評価額が下がっても、それ以上に株式が値下がりすることもあります。
その損失を理解し受け入れられる状況が整っており、税対策以外で投資する目的があるのなら、一石二鳥ともなり良いと思います。

もう一つのお勧めしない理由は、株式に変換すること自体が、そもそも相続税対策をしづらくする面があるからです。
株式は、不動産以上に値動きの勢いが強いです。突然に価値が半分になることもあります。
(私は個人的に、何度も経験しています・・・)

株式の比率が高まると、相続財産全体の価値そのものが大きく変動します。
相続税対策には、納税額が低い場合に有効な方法もあれば、納税額が高い場合に有効な方法があります。
万が一の時の相続税額が変化しやすい状況だと、今後の見通しも立てづらく、相続税対策もやりにくくなります。

それに、遺産分割もやりにくくなります。どの財産をだれに相続させるかを決めていても、その価値が大きく変われば、当初の意図通りの分割もできなくなるからです。

 
このような背景も考慮の上で、相続に備えて財産を株式に変換するかどうかを考える必要があります。
相続に備える場合に、株式に変換する以外にも様々な方法がありますからね。

株式の評価減は、来年以降の法改正で実現するかどうかは、今時点では未定となっています。
今後の動向には、注目していきたいと思います。

 
このように、日々のニュースをもとに将来のことを考えられるのも、FP6分野を学んだからこそです。
私の私見をいろいろ書きましたが、みなさまも株式評価減が実現したときの使いどころを、考えてみてくださいね。

 

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■ 今後の勉強会の開催予定
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●2016/9/22(木・祝) 第5回 老後に向けて、賃貸と持家どちらを勧めるか

グループワークなどを取り入れ、明日から役立つ実践的な学びを得ることを
モットーに開催しています。
参加者同士で楽しく学ぶ、和やかで活気ある雰囲気も特長です。

・FP6分野の知識を、より実践的に活用していく知識・体験を得たい
・FP知識と技能を活かし、家族・知人・お客様の悩みを解決していきたい
・FPに関連した人脈を広げたい

とお考えの方にとってピッタリの、役に立つオススメの勉強会です。
皆様のご参加を、お待ちしています!

参加申し込み、勉強会の詳細はこちらから:
http://money-study.net/life-plan/session/
※PCスマホ両対応のサイトです。
posted by FPスキル実践活用勉強会スタッフ at 19:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 贈与・相続・事業承継

2014年03月07日

相続税の申告漏れ財産で多いもの

2011年度の国税庁調査によると、申告漏れの相続財産の金額構成比率は次の通りです。

土地家屋:17.9%
現預金、有価証券:52.2%
その他(保険金、貸付金、現物資産など):29.9%

ご覧の通り、現預金や有価証券など、いわゆる金融資産が半数を超えています。
相続税の税務調査を受けた場合、その80%が申告漏れによる追徴課税があるとも言われています。

金融資産で国税庁から指摘されやすい理由は、被相続人が資産状況を完全に把握できない(把握漏れがある)という理由があると考えられています。

全財産を把握することは、ファイナンシャルプランニングにおいても大切なことです。
お金の相談に乗る専門家の啓発を受けて、多くの国民が自分とその家族の資産を把握できるようになれば、このような申告漏れは減らしていけるのではないかと思っています。
posted by FPスキル実践活用勉強会スタッフ at 16:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 贈与・相続・事業承継