2018年07月11日

実績連動報酬のファンドマネージャーは、投資家と利害が一致するとは限らない

私たち国民の財産である年金を運用してくれるファンドマネージャーの、報酬に関する話題です。

先日、興味深い記事を見ました。

・GPIF、アクティブ運用で新報酬体系 実績連動強める
https://jp.reuters.com/article/gpif-idJPKBN1J70SY

運用益を上げたら、その分だけファンドマネージャーの報酬を高く設定するという実績連動型の報酬形態を採用するとのことです。
国民の年金資産が増えることで、ファンドマネージャーの報酬も高くなることから、一見すると国民利益に合致した、望ましい報酬体系のようにも思えます。

しかし、この体系だと、ファンドマネージャーにしてみればコールオプションがかかった状態、つまり「損は限定、利益は無限」という構図になっています。

というのも、運用益が上がったら報酬が上がるのは、だれしも想像できる通り。
しかし運用で損失をだしても、クビになったり報酬減額で済み、損失の補填までは責任を負いません。
これが、「損は限定、利益は無限」というコールオプションと同じ性質というわけです。

 
このような報酬環境の下では、とにかくリスクを取って収益が出る可能性に賭ける戦略に出るほうが、確率的にはファンドマネージャーの報酬が高くなります。
もし、実績連動型のファンドマネージャーが、自分の報酬を大きくするために、そんな運用を始めたとしたら・・・
我々の年金が、そんな思惑で運用されては困りますよね。

記事を読む限り、この思惑が働きそうな環境になっていくのではないかと、心配になります。

 
実績連動型を採用したなら、運用者より権限の強い人が、運用方法を監視したり定期的な評価を行いながら、国民目線で望ましい運用をしているかチェックをすることが必要だと思います。

ただ、このチェック体制を敷いてしまうと、運用の短期的な評価という概念が入ってしまうので、長期運用の評価の妨げにもなります。また、どっちがファンドマネージャーかわからなくなる、という見方も出てしまいます。

 
自分の財産を自分で運用するなら、こういう問題は起こりません。
公共の財産を運用するとなった時に出てくる、根深い問題です。

私たちの年金資産がどのような方針で運用されるのかは、国民目線&投資家目線でチェックすることが大切ですね。
 

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2018年07月05日

証券会社のサービスで、積立投資はあるのに、定期取り崩しはない

前2回にわたって、資産を取り崩す老後生活の話題をお届けしました。
今回は、この話題の最終回としてお話を続けていきますね。

老後に年金だけでは生活費を捻出できない場合は、資産を少しずつ取り崩して生活していくことについて、これまで説明してきました。

資産を取り崩しながらも低リスクで運用したいというニーズもあります。
ところが、証券会社のサービスには、定期的に資産を取り崩して現金化するサービスが残念ながらありません。

これの逆で、定期的に証券口座にお金を入れる定期積立(積立投資)は多くの証券会社で取り入れられていますよね。
でも、老後のニーズである「定期取り崩し」はどの証券会社でも行っていません。
これを半ば実現してくれるのが、毎月分配型の投資信託ではありますが・・・。

定期取り崩しのサービスは、証券会社にとっては自社の口座からお金が流出することになります。
それを恐れて、このようなサービスとしては行えないという判断なのでしょう。
でも定期自動取り崩しのサービスには、ニーズがあると思います。

老後に向けて資産を形成し、それを取り崩しながら生活するという考え方を多くのFPの方がしていますよね。
それに共感する方も、それなりの数はいると思うのです。
もしかしたら、この資産の定期取り崩しサービスは、有料(月額300円とか)であっても利用者は増えるかもしれないと、個人的には考えているのですけれどね。

 
いずれにしても、老後に資産を取り崩して生活をしていくためには、老後の貯蓄額と毎月の生活費をしっかり計算の上で、ライフプランニングを立てて計画的に資産管理をしていくのが望ましいですよね。
これからはますます高齢者が増える世の中になりますから、資産の上手な形成と取り崩しのアドバイスが求められる時代になるでしょう。
 

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2018年06月30日

毎月分配型投信は、資産を取り崩す老後生活にマッチする、という考え方

分配金を出す投資信託は、投資の効率性が悪いから買うべきではない、と主張する人も多いでよね。
一方で、毎月分配型投信は老後生活にマッチする一面があり、私はその観点でお話をすることがあります。

老後にもらえる毎月の年金だけでは生活が難しいときに、資産を取り崩しながら生活することになります。投信の分配金がその取り崩し機能を担ってくれるのであれば、それは合理的なことだと思っています。

 
これに関する記事が最近出ましたので、参考にご覧ください。
以下では、こちらの記事をお読みいただいた前提で、話題を続けていきます。

退職後は運用しつつ引き出す 「タコ足投信」悪くない
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO31648350S8A610C1000000

 
この記事にもあるように、資産を形成する若い世代は分配金はないほうがよく、資産を取り崩す世代は分配金にも有用な役割があることが分かります。

FPが書く記事の中に、毎月分配型投信は何一ついいところがないから買うべきでないと主張するものもあります。
投資信託を単に資産を形成するためだけのツールと考えるなら、確かに分配金はないほうが合理的でしょう。
金融商品というくくりだけで物事を考えるなら、その考え方もアリでしょう。

しかし、100万人の人がいれば、100万通りの人生設計があります。
それぞれの人生設計に目を向けると、資産を形成することに重点を置くべき人もいれば、資産を取り崩すことを前提に暮らしを立てていく人もいます。多くの方の家計に向き合うほどに、さまざまな資産のニーズ・悩みが見えてきます。そのニーズや悩みを解消するために、毎月分配型が合理的となる場面もあるものです。

 
とはいえ、毎月分配型は、毎月一定額が分配金として払い戻されることが保証されているものではありません。
分配金が支払われないこともあるでしょうし、分配金が月によって増減することもあり得ます。
分配金が少ないと、手元の流動性資金が不足することにもなるので、その場合は面倒でも投資商品を解約するなどの作業が発生する場合があります。
安定した分配金を期待している人に対しては、丁寧に伝えるべき注意点になりますね。

 
このように、一人一人の人生設計・ライフプランニングに照らし合わせて、金融商品の提案ができる人こそが「ファイナンシャルプランナー」ではないでしょうか。
金融商品の特性だけを論じるなら、「金融商品評論家」という肩書のほうが適していると感じます。

これをお読みの方の中には、いろいろな人たちのお金の課題解決に向き合っている方もいらっしゃるでしょうし、これからそういう立場で活躍していきたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。
その場合には、人生設計と金融商品のマッチングによるプランニングも意識していただき、課題解決の質向上に努めていただければと思います。

 
次回は、上記でご紹介した記事に関連した話題を、引き続きお届けしたいと思います。
この記事で、ちょっと気になる(あまり望ましいとは言えない)内容もありましたので、それにも触れていく予定です。
 

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2018年06月27日

資産運用の間違ったリスクの説明を見て思う、リスクを伝える大切さと難しさ

今日は資産運用に関する、ちょっと深いお話です。

 
資産運用ビジネスを展開しているGAIAの記事で、リスクとリターンの説明がなされていました。
この記事の中でグラフが2つあって、「期待リターンと期待リスク」というグラフのほうです。
https://private-fp.online/shisanunyou-keisei/2848

このグラフでリターンの説明は、まあ、あっています。
でも、リスクの説明が本来の意味と異なって説明されています。
この記事では「期待リスク=短期的な変動幅」と書いていますが、これは誤りです。

まず1つ目のちっちゃい誤りは「期待リスク」という言い回し。
「期待リターン」という言葉はあるものの「期待リスク」と言うことは通常はありません。普通に「リスク」といいます。
(期待という言葉は、リターンや収益率に対して使うのが通常)

 
で、今回指摘したい誤りは、リスクの本質的な説明です。
「短期的な変動幅=リスク」なる説明は、一般の人に投資の危険性のようなものを説明するときにはいいのかもしれませんが、ポートフォリオ理論におけるリスクの説明にはなっていません。

ポートフォリオ理論におけるリスクとは、数学的に計算したリターンの標準偏差です。
リターンの標準偏差をわかりやすく意訳すると、「リターンが平均からどれだけずれるか、その予測しづらさを数値化したもの」です。

リスクとは、リターンのブレ幅のことではなく、もちろん価格のブレ幅のことでもありません。
リスクは、予測しづらさ、わからなさを数値化したものです。
リスクは、量や大きさを表現したものではないのです。

これが正しい定義ですが、「予測しづらさを数値で表す」ことは人間の直感ではできないことなので、一般の人に説明しても、理解してもらえることはほとんどありません。。。
なので証券会社のサイトを含め、ほとんどは価格の値動き幅をリスクと称して説明しています。
(プロが、プロでなくなったのを見るような違和感を感じますが。。。)

 
この誤った説明のもとでは、いろいろな矛盾も出てきます。
例えばこのGAIAのグラフは、そもそも「かなりローリスク・ミドルリターン」的なことを視聴者に伝えるグラフになってしまっています。もはやリスクの説明にはなっていなくて、低リスクを強調しているグラフです。

なぜなら、このグラフは価格の上がり下がりが周期的に表現されています。しかも、値動き幅もほぼ固定化されています。
短期的な価格の変動幅が、たとえ大きかろうが(GAIAの説明ではハイリスク)小さかろうが(GAIAの説明ではローリスク)、価格の動きを予測できれば、リスクの数値が意味する「予測しづらさ」はゼロに近い。
なのでこのグラフは「かなりローリスク」と、定義に沿うと表現できるわけです。

また、このグラフの値動きのもとでは、ポートフォリオ理論など「存在価値なし」です。
なぜなら、どのあたりが安値で、どのあたりが高値かが読めるので、ポートフォリオ理論を用いるまでもなく期待リターンを超えるリターンをゲットできますから(笑)

 
このGAIAの記事に限ったことではないのですが、いろいろな人のリスクの説明を見るたびに「正しく伝えられていない」ことへの違和感を、実は感じています。
ただ、リスクを定義通りに正しく説明することが顧客のためになるのかというと、そうでもないのです。

証券アドバイザーとして、ポートフォリオ理論のリスクをわかっているかどうかってことも大事ですが、投資のリスク(これは標準偏差のことじゃない)をお客様に伝えることも大事です。
実務上は、こっちのほうが大事。

投資に関して、アドバイザーの認識と顧客の認識が異なることは、よくあることです。
場合によっては、投資で損をした人が「間違った説明で損害を与えた」と主張し、クレームに発展することもあるのですから。
(取引時にニコニコ感謝してくれる客があとでクレームを言うなんて、その時は想像できないのですけれどね)

 
ちょっと長々と書きましたが、リスクの説明を見るたびに、こんなことが頭をよぎっております。
正しい投資アドバイスとは何か、これはいつになっても答えが出ない「永遠のテーマ」なのかもしれません。
 

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2018年04月30日

配当金は、所得税と住民税で別々の申告方法をとれる

みなさま、こんにちは。
FP勉強会運営スタッフ(公式サイト管理人)の佐藤です。

株や投資信託を保有していると受け取れる、配当についてのお話です。

この配当に対する課税は、総合課税、申告分離課税、申告不要制度のいずれかを、納税者が指定することができます。

総合課税を選ぶと、配当控除という税額控除が使えます。
申告分離課税を選ぶと、株式の譲渡益とも損益通算でき、税率も一律20.315%なので、高所得者にはこちらが有利です。
申告不要制度というのもあり、こちらは源泉徴収によって納税を完了することができる制度です。

この3種類があることは、FP試験の3級や2級でも出題されていますから、忘れた人は思い出してくださいね。

 
ここからあまり知られていないお話になりますが、配当に対する課税についてどれを選択するかは、実は所得税と住民税とで別々に選択することができるのです。ですから、

・所得税では総合課税を選択し、住民税では申告不要制度を選択する

ことで、最も低い税率を適用できる、という方もいるのです。

配当に対する節税について詳しく知りたい場合は、下記の記事を参照してみて下さい。
申告不要制度と申告分離課税とで、有利不利についても書かれています。

【配当金もらったら節税を 所得税と住民税で使い分け】
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO29352400T10C18A4PPE000

 
ただし、この記事に書かれている税率をうのみにすると、逆に勘違いをする可能性もあります。
配当による収益が多い人は、総合課税を選ぶことで、高い税率が課税されることとなてしまいます。

ですから、どのような選択をするのがもっとも得になるかは、配当所得の額と、配当所得以外の所得(給与&事業所&老後年金の雑所得など)の額とのバランスによっても、差が出ます。

それぞれの個別のケースで試算をしなければ、事前にどれが得かを言い当てることはできませんので、この点は忘れないでくださいね。

 
「配当に対する納税は、所得税と住民税とで別々の方法を採用できる」
これが、今日のワンポイントです。
参考にしてくださいね。
 

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