2017年06月20日

年金繰下げ受給に関する、ちょっと濃い話 その3

老後、誰しもお世話になる年金制度。
この年金は原則として65歳から受け取れますが、繰上げや繰下げという制度があり、それによってもらえる年金が増減し、損得に影響します。

その年金について、ちょっと濃い話題をお届けしています。
どれくらい濃いかといわれる、FP2級では出題されないけれど、FP1級やCFPであれば出題されるレベルとお考え下さい。
クイズ形式で楽しみながらも、繰下げ受給のちょっと深いところを改めて学習できるきっかけになればと思います。

 
前回から、かなり期間が開いてしまいまして、申し訳ございません。
前回までで5問出題しましたから、今回は6問目から、となります。
今回は、障害年金や遺族年金と、老齢年金繰下げの組み合わせパターンです

下記の文章を書いてて思ったのですが、今回はちょっと濃すぎるかも・・・
でもせっかく書いたので、このまま配信します(笑)
少々複雑なお話が含まれますが、どうぞお付き合いください。
各クイズの答えは、10行後に記載しています。

■第6問

繰下げ受給を選択し、66歳を過ぎてまだ年金を受け取っていない期間(待機期間)に、その本人が死亡してしまったとします。
この場合、通常なら65歳からもらえたはずの年金は、遺族も代わりに受け取ることができないので、この場合は65歳からもらうよりも損になる。
○か×か?










正解は×です。
一見すると、このような状況になると繰下げが損になるように思えます。
しかしこの場合、本人が65歳の時から死亡の時までの期間に支払われなかった年金を、遺族が請求すれば受け取ることができます。
これを、遺族による「未支給年金の請求」と言います。
この場合、65歳からの年金を一括してもらう「増額のない年金をさかのぼって受給」で計算された金額を、遺族が受け取ることになります。

では、この遺族の受取金に関して、次の問題です。

■第7問

繰下げ待期期間中に死亡した方の、未支給年金を遺族が請求して受け取った場合、この年金額は死亡した人の相続における、相続税の課税対象となる。
○か×か?










正解は×です。
この未支給年金は、相続財産とはみなされないため、相続税は課税されません。
実は、請求した遺族が国から個別に受け取った所得、とみなされるのです。
そのため、受取った遺族に対して一時所得として課税されます。

死亡と引き換えに受け取るお金なのだから、生命保険金と同じく相続税の課税対象であるべきではないのか、という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
じつは20年ほど前に、未支給の年金は相続財産に当たらないと、最高裁判所が判断をしています。未支給年金をだれが受け取るのかを規定した法律が存在するため、法定相続人間で分け合うお金ではない、というのが法律上の解釈です。
このために相続税は課税されず、受け取った遺族に所得税が課税されることになっているのです。

 
では、この年金の濃い話シリーズの、最後のクイズです。

■第8問

繰下げ待期期間中に、自身が障害者に該当したために障害年金の受給権を得た場合、繰下げ受給を選択することはできない。
そのため、まずは65歳から障害者になった時までの未支給の老齢厚生年金を受け取り、そのあと、繰上げ・繰下げのない老齢年金か、障害年金かを選択して受給することになる。
(障害年金と老齢年金は、原則として併給できないため)
○か×か?









正解は×です。
頭が痛い話になってきましたが・・・
このように繰下げ待機中に、障害年金の受給権を得た場合、
・受給権を得た障害年金か
・受給権を得た時点において繰下げを申請した場合の老齢年金か
のいずれかを受給することになります。

障害年金の受給権を得た時点で、繰下げの増額率は確定されるのです。
なので、それ以上繰り下げて老齢年金を増額させることはできませんし、繰下げを取り下げて65歳からの年金を受け取ることもできないのです。

この問題では障害年金の受給権を得た場合ですが、遺族年金の受給権を得た場合も同じです。この場合は「障害年金」を「遺族年金」に読み替えてください。

なお、以上は原則的な話であり、条件によっては障害年金(遺族年金)と老齢年金の併給が認められています。
(併給の詳細は割愛します。FP2級で学んでいるはずですから・・・笑。もし忘れた方は、FPのテキストなどをお読みのうえ、復習しておいてくださいね)
その併給においても、老齢年金は繰下げで増額された金額で受給額が計算されることになります。

 
以上、3回にわたって、年金のちょっと濃い話をお届けしてきました。
そして、年金クイズも以上となります。
8問すべて、完答できたでしょうか?

なぜこのような年金の濃い話をしてきたかということを、次回にお伝えしたいと思います。
年金の濃い話シリーズの最後は、このような年金の細かいお話とFP相談との関連がテーマとなります。

 

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2017年06月04日

年金繰下げ受給に関する、ちょっと濃い話 その2

老後、誰しもお世話になる年金制度。
この年金は原則として65歳から受け取れますが、繰上げや繰下げという制度があり、それによってもらえる年金が増減し、損得に影響します。

その年金について、ちょっと濃い話題をお届けしています。
どれくらい濃いかといわれる、FP2級では出題されないけれど、FP1級やCFPであれば出題されるレベルとお考え下さい。
クイズ形式で楽しみながらも、繰下げ受給のちょっと深いところを改めて学習できるきっかけになればと思います。

 
前回は3問出題しましたから、今回は4問目から、となりますね。
各クイズの答えは、10行後に記載しています。

■第4問
繰下げ受給を選択し、66歳を過ぎてまだ年金を受け取っていない期間(待機期間)に入った後であっても、繰下げ受給を取り下げることができる。
○か×か?









答えは○です。

繰下げを選択しても、実際に年金を受け取っていない段階であれば、繰下げ受給を取り下げることができます。
繰下げを取り下げるとは、要は65歳から通常通りもらうことを意味します。
これを「増額のない年金をさかのぼって受給」とも言います。

ではさらに、これに関連する問題です。

 
■第5問
70歳から繰下げ受給をするつもりでまだ年金を受け取っておらず、現在69歳になりました。急きょ資金需要が発生したので、繰下げ受給を取り下げ、65歳からもらえるはずだった年金を請求しました。
この場合に受け取った金額(65歳からの4年分の年金額とします)は、一時所得として課税対象となる。
○か×か?









正解は×です。

数年分の年金をまとめて受け取った場合であっても、それぞれの年における公的年金雑所得として課税対象となります。
ご想像がついた方がいらっしゃるかもしれませんが、厳密には過去にさかのぼって修正申告の対象となります。4年分を受け取ったら、過去4年分の修正申告です。
しかし、支給される年金は所定のルールに基づいて源泉徴収されています。
源泉徴収された税金額のほうが多ければ、修正申告は不要です。

源泉徴収額よりも本来は多くの税金を払わないといけない方(総合課税の税率が高かった方)は、修正申告が必要となります。

一時所得にしてくれたほうが楽なのに、というご意見もあるかもしれませんね。
でも、各年にさかのぼって公的年金雑所得となるので、各年の公的年金等控除額(65歳以上だと毎年120万円以上の控除額)も適用されるのです。
一時所得なら特別控除額はたった50万円ですが、公的年金等控除額なら4年分で480万円以上の控除額です。
なので税金面では、各年における公的年金等控除額を適用してくれたほうがありがたいとも言えます。

 
年金制度、掘り下げれば掘り下げるほど、濃い話がたくさん出てきますね。
年金相談の場においては、時にこういった知識で会話をしなければならない場面も出てきます(頻度は少ないでしょうが・・・)

次回も、繰下げの濃いお話をお届けしますので、お楽しみに♪
ちなみに、今回の話題より、さらにいっそう、濃い話になります・・・

 

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2017年05月31日

年金繰下げ受給に関する、ちょっと濃い話 その1

老後、誰しもお世話になる年金制度。
この年金は原則として65歳から受け取れますが、繰上げや繰下げという制度があり、それによってもらえる年金が増えたり減ったりします。

多くのFPは、年金を繰り下げて受け取ったほうが得だと思っています。
なぜなら、1か月繰り下げるごとに0.7%ずつ増額され、おおよそ83歳より長生きするのであれば、70歳からの繰下げ受給を選択することで、最も多くの老後年金を確保することができるからです。

もちろん、70歳まで年金なしで暮らせれば、の前提は必要ですけれども。

 
さて、今回から数回に分けて、老齢年金の繰下げ受給に関するちょっと濃い話をしていきます。
どれくらい濃いかといわれる、FP2級では出題されないけれど、FP1級やCFPであれば出題されるレベルとお考え下さい。

FP1級やCFPをお持ちの方であっても、改めて年金の試験問題を解いて全問正解できる、という人はほとんどいないのではないでしょうか。
これから数回に分けて、頭の体操も兼ねながら、クイズ形式で年金の復習をしていきましょう!

 
さて、年金繰下げの濃い話、第1回目ということで、比較的軽めのクイズからいきますね。
各クイズの答えは、10行後に表示しています。

■第1問
年金の繰下げは、65歳以降に行うことができ、65歳0か月から数えて1か月あたり0.7%ずつ増額される。
○か×か?









正解は×です。
繰下げは「65歳以降」ではなく「66歳以降」に行うことができます。
つまり、65歳11か月までの期間は、繰下げを行うことができないのです。
65歳を過ぎたらその1か月後からでも繰下げできる、と考えている方もいますが、そうではありません。

簡単でしたでしょうか?

では次の問題です。

■第2問
基礎年金と厚生年金の両方を受給できる方の場合、年金の繰下げは、基礎年金と厚生年金の両方を繰下げしなければならない。
(基礎年金だけ繰下げ、厚生年金だけ繰下げ、ということは行えない)
○か×か?









正解は×です。
繰下げを希望する場合、次の3つの中から選べます。
・基礎年金と厚生年金を共に繰下げする
・基礎年金だけを繰下げする
・厚生年金だけを繰下げする

年金を請求する用紙にも、繰下げの仕方を選択する項目がありますよね。
理論だけでなく、実務上の書類を見たことがあるなら、理解も深まります。

では次の問題はどうでしょうか?
ちょっと難しいですよ。

■第3問
繰下げを選択すると、加給年金を受け取れなくなると言われています。
しかしこれは、老齢厚生年金を繰下げした場合のことであり、「老齢基礎年金は繰下げするが、老齢厚生年金は繰下げしない」場合には、加給年金は受取れる。
(加給年金の受給要件は満たしているものとする)
○か×か?









正解は○です。
加給年金は、厚生年金を受給しているときに加算される金額です。
したがって、老齢厚生年金を受給しているならば、加給年金は加算されます。
老齢厚生年金を繰下げしていて受給していないならば、加算はされないのです。
細かいですね。

ちなみに、繰下げ受給しても、加給年金の金額は増額されません。
これはFP2級でも出題される、基礎事項ですよ♪

 
まずは頭の体操として、3問だけチャレンジしていただきました。
今後はもう少し複雑なお話をしていく予定ですが、クイズ形式で楽しく読めるようにしていきます。
ほとんどのFPは知らない(忘れている)ことも、改めて理解していただける機会になればと思っています。

年金繰下げの、ちょっと濃い話。
次回をお楽しみに!
 

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2017年02月23日

雇用保険が、副業に対応予定

雇用保険の制度改正が検討されています。
一言でいえば、副業に対応した制度に変えていくのだそうです。
詳しくは、下記日経新聞電子版で説明されています。

雇用保険の対象を拡大 厚労省、週合計20時間勤務で適用に
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO13150380Q7A220C1EE8000/


雇用保険において、週20時間勤務という要件があります。
しかし、これはあくまでも1社で20時間、ということであり、複数社合計で20時間になっても、基本手当の受給要件とはみなされません。
これを2社以上の合計で20時間にしようというのが改正の趣旨です。

ですが、考えなければならない問題がたくさんあることも、この記事で指摘しています。
2社のうち1社を退職したときにも基本手当を支給するのかとか、支給手続きの過程でまだ退職していないもう一方の会社に副業がばれてしまう恐れについても、指摘しています。

家族を養う収入が十分にない方が、やむなく複数の仕事を掛け持ちするわけですが、そういう人に対する社会保障の制度になっていない。
こんな指摘が以前からあって、問題視している人もいます。

社会制度を、多様な働き方に対応していくことも大事です。
しかし多様なものに対応しようとすると、その仕組みを作るにあたりさまざまな調整が必要にもなり、制度そのものが複雑化する要因ともなります。
今ですら、社会保険制度は十分に複雑です。

雇用保険制度を、わかりやすく、たよりになる制度にできるかどうか、今後の進展に注目したいと思います。

 

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●3/18(土)午前 受験前に役立つ情報満載!FP技能士3級2級合格ガイダンス会
FP技能士試験の合格に役立つ、様々な情報をお伝えする内容です。

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2016年10月28日

将来の社会保障費の増大を見据えた、ファイナンシャルプランニング

みなさま、こんにちは。
FPスキル活用勉強会運営スタッフ(公式サイト管理人)の佐藤です。

最近のニュースで、社会保障費の増大に関するものがありました。

一つは、公的介護保険についてです。
40歳以上の会社員の方は、給与天引きで公的介護保険の保険料を負担しています。
この保険料を引き上げを検討していると報じられたことから、経済団体が「取りやすいところから取るな」と反発をしていました。

今後の日本は、高齢化がますます進行します。
今の介護保険の仕組みでは、介護保険を成り立たせるだけの財源を確保できないので、保険料徴収を強化するか、それとも保険給付のほうを削減するか、という議論になることは避けられません。
もしくは、この両方が同時に進められる可能性もあります。

介護は高齢化社会における重要なテーマです。
保険料の引き上げが決まったわけではないのですが、この議論は続いていくと思いますので、今後の動向にも注目していきたいと思っています。


次に、医療費に関する話題です。
高齢者の医療費が増大していることを受け、高齢者にも相応の負担を求めようという声が議員から上がりました。
負担の内容は、具体的には明言されていませんが、公的医療制度のほうも、やはり財源の問題をかかえています。

先に挙げた介護保険とも関連しますが、いまや日本の国家予算の3割を、これら社会保障費が占めています。
この金額が今後増えることは確実視されており、国として医療や介護の公的制度をどのように維持していくのかも大きな問題です。

国民のだれもが、今以上の負担を背負うことには抵抗があるでしょう。
しかし、負担を背負わずに社会保障を手厚くするばかりにもいかないです。
この難しい問題を、どのような方策で乗り切るのか、今後の制度の行方にも注目していきたいと思います。


さて、このような背景を考慮したときに、若い世代の方のファイナンシャルプランニングにおいて、少々悩ましい面があります。
多くのFP相談の現場では、若い人の相談において、社会保障制度は現行制度のままで変わらないことを前提にしていることでしょう。
例えば老後にもらえる年金は、現在の計算式に基づいて試算をしたり、また医療保険の見直しにおいては、医療費の3割負担を前提に考えているケースが多いでしょう。

しかし若い世代の方の中には、老後にもらえる年金は今以上に減り、天引きされる金額も増えるなど、社会制度が今より改悪されることを予感している人も増えています。
若い方から相談を受けたとき、FPである皆さんが今後の日本社会の変化をどうとらえ、家計診断やライフプランニングに織り込んでいるのかを問われる場面が、増えていくかもしれませんね。

社会制度が変わることが確定的に決まれば、新聞や雑誌などで大々的に報道されます。
しかしそれ以前の過程や議論については、小さく取り扱われていますが、今後の社会の変化を見据え、ファイナンシャルプランニングを考えるなら、ぜひ注目をしていただきたいと思います。

 

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■ 今後の勉強会の開催予定
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●2016/11/5(土) 第6回 相続トラブル事例研究(負債の相続)

FP実務に関する事例を扱い、グループワークを取り入れて、実践的な学びを
楽しく得られる勉強会です。

・FP6分野の知識を、より実践的に活用していく知識・体験を得たい
・FP知識と技能を活かし、家族・知人・お客様の悩みを解決していきたい
・FPに関連した人脈を広げたい

とお考えの方にとってピッタリの、役に立つオススメの勉強会です。
皆様のご参加を、お待ちしています!

参加申し込み、勉強会の詳細はこちらから:
http://money-study.net/life-plan/session/
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