2017年04月17日

おひとりさまの相続で出てくる「特別縁故者」の深い話 その2

今日のお話は、下記のFP向け雑誌から。

KINZAIファイナンシャルプラン 2017年3月号
「押さえておきたい!事業承継の法律知識」

 
おひとりさまの相続、すなわち誰も相続人がいないケースです。
この場合「特別縁故者」と呼ばれる、かつて亡くなった方と深い縁があった人に財産がわたる、と説明されることが多いです。

でもその実務を見ると、案外、話はそう単純じゃないことが見えてきます。
 

前回は、特別縁故者の概要についてお伝えしました。
ここで、おひとりさまの死亡後の遺産分割の流れを、もう一度おさらいしておきましょう。

おひとりさまが亡くなる
 ↓
相続財産はいったん「相続財産法人」と呼ばれる法人のものとなる
 ↓
家庭裁判所により、「相続財産管理人」が選ばれる。
(相続財産管理人は、イメージとして「相続財産法人で一番権限を持つ責任者、社長みたいなもの」ととらえてください)
以後、この相続財産管理人のもとで、相続財産の清算手続きが行われる
 ↓
債権者(おひとりさまにお金を貸していた人など)がいれば、その人たちに連絡がなされ、おひとりさまの財産から弁済がなされる
(このように負債財産が優先して処理されるので、これ以後に財産を受け取る人はプラス価値の資産だけを受け取ることになる)
 ↓
この時点でも相続人がいない場合は、特別縁故者に対して相続財産の全部または一部を与える手続きが行われる
 ↓
それでも残った財産は、国庫に帰属(国有財産となる)


前回に、特別縁故者は、財産を受け取る順位が最後になるうえ、財産を取得できる権利も弱いこともご説明しました。
今回は、自分が特別縁故者に該当すると思った場合に、生前にやっておくべきことを書いていきます。
今後の日本社会ではおひとりさまも増えるでしょうから、知っておいて損はない!?かもしれません。

 
自分が特別縁故者に当たると思ったら、最も効果的なのは、自分に財産を相続(遺贈)する遺言を書いてもらうことです。
(これは特別縁故者のケースに限らず、あらゆる場面で自分に有利になるような遺言を被相続人にお願いするときに有効な考え方です)

そのような遺言を書いてくださいとお願いして、いいよ!と言ってもらえる関係なら素敵ですね。
そうでなければ、おひとりさまと交渉して、遺言を書いてもらうことになるでしょう。

みなさんなら、どう交渉に持ち込みますか?(笑)

 
私が考えるその交渉手順を、以下に書いてみます。
参考なれば幸いです。
もっといい方法があるよ!と思われた方は、ぜひ私にも教えてください♪

・おひとりさまの方も、最後まで充実した人生を送りたいと思っているはず。
 だから、その思いを、人生をかけて応援できる人間関係をまずは構築する。
・遺言の話をする前に、こちらから積極的におひとりさまに対して
 「ギブアンドテイクのギブに当たるもの」を提供する。
・おひとりさまが困っているときには、真っ先に相談相手になる。
 もちろん、解決に向けて全力を注ぐ。
・おひとりさまから、「頼りになるパートナー」「人生最後までともに過ごしたい友達」と思ってもらえていることがわかる発言を何度か聞く。それくらいの親密な人間関係を築く。
・このような過程を経て、おひとりさまがどのような財産をお持ちかは、何となく見えてくる。
 (こちらから全財産を聞き出すことはしない)
・ときおり、おひとりさまがお持ちの財産の有効活用について話を切り出す。
 おひとりさまが充実感、喜びを感じるお金の使い方の話題で盛り上がる。
・そのようなお金の使い方を、おひとりさまが亡くなられた後も継続し、実現できたらいいね、という話のネタがあれば話してみる。
・その話の結果、良い感触があれば、おひとりさまが亡くなられた後も、おひとりさまの財産を有効活用し続けるためにも、私に財産を相続する遺言書を書いてくれないか、とお願いする。
・あくまでも、おひとりさまの意思を尊重する。


書いてる途中で、本当にこれでうまくいくかな?なんて疑問も出ましたが・・・
この話の流れの最初に書いた「ギブアンドテイクのテイク」に当たるものが、最後に来るようにストーリーを描ければ、おひとりさまも納得してくれるかもしれません。

一緒に過ごす中で、時にはおひとりさまの看病、介護が必要になることもあるでしょう。
それも当然、ともに乗り越えていく気持ちが、自分の中になければなりません。

・おひとりさまの財産は2番目
・おひとりさまの人生、夢や希望が1番目

となるように接していれば、「財産目当てだったのか!」と言われることもなく、快く遺言を書いてもらえるよう、話を持っていけるのではないでしょうか。

また、ここまで深くおひとりさまとかかわることで、「自分以外に特別縁故者はいない」という状況を作れると考えています(いわゆる囲い込み作戦)
特別縁故者に当たる人は、自分以外に他にいるかもしれませんからね。

と書いてる途中で、やっぱり本当にこれでうまくいくかな?と気になりましたが・・・やっぱり難しいですね、遺言を書いてほしいという要求は。

 
「おひとりさまが亡くなられたら、特別縁故者が財産を受け取れます」というメディアの情報のとおりには、そう単純にはいかないことがお分かりいただいたのではないでしょうか。

次回は、3回にわたる特別縁故者シリーズの最後として、特別縁故者となるための手続きや、特別縁故者にかかる相続税など、さらに実務的な観点で補足をしていきます。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 今後の勉強会の開催予定
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●4/22(土) 相続相談事例から学ぶ、計画的な相続対策
2つの相続相談事例を取り上げ、相続に関する問題をどのように解決すれば
よいかを考えていきます。相続における実践力が身につく内容です。

●4/22(土) 資産運用・不動産活用・相続分野でFP業務に役立つIT活用勉強会
ライフプランニング以外で、これら3つの分野でFPの皆様に役立つソフトに
関する情報提供・意見交換を行う内容です。

●5/13(土) FP2級 頻出重要ポイント&難問対策勉強会
●5/21(日) FP3級 頻出重要ポイント(2級基礎)対策勉強会

参加申し込み、勉強会の詳細はこちらから:
http://money-study.net/schedule.htm
※パソコン・スマートフォン両対応のサイトです。

posted by FPスキル実践活用勉強会スタッフ at 06:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 贈与・相続・事業承継