2017年04月14日

おひとりさまの相続で出てくる「特別縁故者」の深い話 その1

今日のお話は、下記のFP向け雑誌から。

KINZAIファイナンシャルプラン 2017年3月号
「押さえておきたい!事業承継の法律知識」

 
おひとりさまの相続、すなわち誰も相続人がいないケースです。
この場合「特別縁故者」と呼ばれる、かつて亡くなった方と深い縁があった人に財産がわたる、と説明されることが多いです。

でもその実務を見ると、案外、話はそう単純じゃないことが見えてきます。

 
おひとりさまが亡くなると、次のように遺産分割が進んでいきます。

おひとりさまが亡くなる
 ↓
相続財産はいったん「相続財産法人」と呼ばれる法人のものとなる
 ↓
家庭裁判所により、「相続財産管理人」が選ばれる。
(相続財産管理人は、イメージとして「相続財産法人で一番権限を持つ責任者、社長みたいなもの」ととらえてください)
以後、この相続財産管理人のもとで、相続財産の清算手続きが行われる
 ↓
債権者(おひとりさまにお金を貸していた人など)がいれば、その人たちに連絡がなされ、おひとりさまの財産から弁済がなされる
(このように負債財産が優先して処理されるので、これ以後に財産を受け取る人はプラス価値の資産だけを受け取ることになる)
 ↓
この時点でも相続人がいない場合は、特別縁故者に対して相続財産の全部または一部を与える手続きが行われる
 ↓
それでも残った財産は、国庫に帰属(国有財産となる)


法人ビジネスに詳しい人なら、「株式会社の清算」と似ていることがわかりますね。

過去に実際に特別縁故者になった人の事例として、次のケースが挙げられています。
・相続人ではないが同一生計だった人(親族のほうが認められやすいようです)
・療養看護に努めた人(寄与分が認められる程度の貢献度が必要と思います)
・50年以上の付き合いのある弟子
・個人に限らず学校法人や宗教法人

 
次に、特別縁故者の要件と権利についてまとめてみます。

特別縁故者は、家庭裁判所により決定されます。
なので「私が特別縁故者です」と主張しただけでは、特別縁故者とはなれないのです。

この記事でも紹介されていますが、包括受遺者がいる場合は、その人に財産が優先して遺贈されてしまいます。要は相続人と同じ扱いになるので、おひとりさまの死亡なのに「相続人がいる」扱いとなってしまいます。
この場合、特別縁故者の候補者だった人(特別縁故者になることはできないですから)は、結果的に財産を受け取れないことになります。

また、特別縁故者の候補者だった人は、遺言の無効を裁判で申し立てる権利がないことも、この記事で触れられています。特別縁故者になれなかった以上、遺産相続とは無縁の人とみなされるからです。
仮に、遺言がおひとりさまの意思に反して書かれた場合であったとしても、です。
このような場合には、相続財産管理人に訴訟を起こしてもらう必要があります。

 
ここまで、特別縁故者に関することを書いてきました。
特別縁故者は、財産を受け取る順位が最後になるうえ、財産を取得できる権利も弱いことがお分かりいただけたと思います。

次回は、自分が特別縁故者の候補者となれる場合に、事前に行っておくべきことは何か、について書いていこうと思います。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 今後の勉強会の開催予定
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●4/22(土) 相続相談事例から学ぶ、計画的な相続対策
2つの相続相談事例を取り上げ、相続に関する問題をどのように解決すれば
よいかを考えていきます。相続における実践力が身につく内容です。

●4/22(土) 資産運用・不動産活用・相続分野でFP業務に役立つIT活用勉強会
ライフプランニング以外で、これら3つの分野でFPの皆様に役立つソフトに
関する情報提供・意見交換を行う内容です。

参加申し込み、勉強会の詳細はこちらから:
http://money-study.net/schedule.htm
※パソコン・スマートフォン両対応のサイトです。

posted by FPスキル実践活用勉強会スタッフ at 06:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 贈与・相続・事業承継