2016年12月24日

相続に関して、2つの最高裁判所の動き

みなさま、こんにちは。
FPスキル活用勉強会運営スタッフ(公式サイト管理人)の佐藤です。

ここ最近、相続に関して、最高裁判所の動きが注目されています。
最高裁判所の判断は、日本の国家ルールとなるものであり、今後の相続業界の常識にもなっていくものです。


一つ目は、養子縁組についてです。

【相続税対策の養子縁組、「無効」見直しへ 最高裁】
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG19HEF_Q6A221C1CR0000/

養子縁組の理由が相続税対策であるなら、その養子縁組を無効にするかどうか、という判断です。
高等裁判所では「無効」とされましたが、最高裁判所によって「有効」と判断される可能性が高まっています。
養子縁組をすると、法定相続人の人数を増やせる⇒基礎控除額を増やせる⇒最終的な相続税額を減らせる、という効果があります。
(相続税計算において、養子を法定相続人に加えられるのは最大で2人までです。無限に基礎控除額を増やせるわけではありません)

養子縁組の理由が、親子という身分を作るためなのか、それとも単に節税のためだけなのか、など理由によって有効/無効がわかれることになるかもしれません。
今後の判決で、その結果が出てくることになるでしょう。


もう一つは、預貯金の遺産分割です。

遺産分割が決裂して裁判所の調停などで遺産が分割されるとき、預貯金は法定相続割合で分割される、というのがこれまでの裁判所の判断でした。
しかし、そのように機械的に法定相続割合で分けるのではなく、きちんと遺産分割協議の結果に基づいて分けるべき、と最高裁判所の判決が出ました。

<最高裁>預貯金は遺産分割の対象 判例変更し高裁差し戻し
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161219-00000050-mai-soci

遺産分割協議が決裂したために法定相続分に基づいて分割されると、生前贈与を受けていた相続人が有利になったり、逆に被相続人に現金を生前贈与した相続人が不利になる、という問題がありました。
より公平な遺産分割を実現するためにも、このような不平等はなくすべき、と最高裁判所が判断をしたという経緯です。

しかし、この判断によって新たな問題も発生します。
これまで、金融機関は亡くなった人の口座にあるお金を相続人が引き出す時、遺産分割が確定していなくても法定相続割合までなら引き出しに応じてくれるケースもありました。(金融機関によります。遺産分割が確定しない限り引き出しに応じない金融機関もあります)

しかしこの判決を受けて金融機関は、今後、遺産分割が確定するまでは引き出しに応じなくなるとも考えられます。一部の銀行では、あらかじめ契約していれば、遺産分割前であっても一定の金額の引き出しに応じるサービスを始めています。時代のニーズに適合したサービスだと思いますが、このようなサービスを行っている銀行は数えるほどしかありません。
家族の死亡後に、葬儀などで急な資金需要も発生することがありますから、こういった事態に金融機関はどう対応し、また相続人側もどう準備しておけばよいのか、お互いに考えていかなければなりませんね。


FP試験でも相続について学びますが、あくまでも法律で定められた事項を勉強しているにすぎません。
世の中にある相続トラブルの種類は非常に多く、法律による解釈だけでは判断できないことも山のようにあります。

FP資格も活用し、相続に強い人材になるのであれば、こういった実務的なことをたくさん学んでいく姿勢も必要といえるでしょう。

 

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■ 今後の勉強会の開催予定
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次回は2月に開催を予定しています。
開催日時、場所が正式に決まりましたら、こちらでご案内いたします。

posted by FPスキル実践活用勉強会スタッフ at 19:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 贈与・相続・事業承継