2016年10月20日

確定拠出年金の誤ったアドバイスに気を付けよう その2

みなさま、こんにちは。
FPスキル活用勉強会運営スタッフ(公式サイト管理人)の佐藤です。

2017年1月から確定拠出年金の制度改正もあり、確定拠出年金に一層の注目が集まっています。そのような背景から、確定拠出年金に関する雑誌記事、ネット記事も多くみられるようになりました。

その一方で、記述に誤りがあるなど、不適切な記事も見受けられるようになりました。
皆様が確定拠出年金のアドバイスをする際には、ぜひ適切な情報提供に努めていただきたいと思います。

前回に続き、今回も確定拠出年金に関する記事を題材にして、確定拠出年金のアドバイスで大切なポイントを見ていくことにしましょう。

 
まず、下記の記事をお読みください。
前回とは別の記事ですが、以下ではこの記事をすべて読んだという前提で、この記事対する補足をしていきます。

【個人型確定拠出年金へ伸ばす手に「待った!」】
http://manetatsu.com/2016/09/73433/

 
まずは、資産運用のリスクについての記述です。


・投資信託などで運用するのだから、資産が目減りするリスクがある。

しかしこれ、私は大したリスクだとは感じません。そもそもスルガ銀行のように元本保証商品(定期預金)も選べるし、分散型投信なら長期積立運用すれば安定的に資産が殖えるでしょう。

いわゆる価格変動リスクに関する記述ですが、価格変動リスクを軽視するのは、資産運用のアドバイスをする立場としてはNGです。
記事のように元本保証商品を選べば確かに元本は目減りしないでしょうが、それ以外の株式が組み込まれた商品などで運用すれば、最終的に資産が目減りする可能性は十分にあります。
また、「分散投資を長期で続ければ安定的に資産が殖える」とありますが、毎月資金を積み立てていくので資産が増えるのは当たり前です。
しかし分散投資をすれば安定的に増えるというのは正しい説明とは言えません。何かに一極集中させた場合と比べれば資産価格の変動度合いは小さくできる可能性がありますが(状況によっては逆に大きくなることもあり得ます)、小さくなるのは変動の度合いであって、資産が目減りするリスクがなくなるわけではありません。

この記事のような発言を、確定拠出年金の投資教育現場で行うことは、許されないことです。
この記事は著者が個人的に思っていることを単に述べたものであり、ファイナンシャルプランナーのアドバイスとしては不適切です。
少し小難しい理論の話もしましたが、資産が目減りすることを軽視する姿勢は望ましくないと思います。
皆様がアドバイスをするときは、投資の危険性についても丁寧に説明をしていただきと思います。


何より多少資産が下落したところで、先ほど触れた節税効果が相殺します。

節税効果を上回る資産の下落も十分ありえます。
それに、どれくらい節税効果があるかは、その方の所得額によりますので、「節税効果が相殺する」は必ずしも言えません。それを確定的に述べているところが不適切です。
この記事はある一点だけを強調していますので、みなさまは他の観点も考慮して、相手の立場に合う説明をすることも心がけてほしいと思います。

(節税額や手数料など)それらをすべて将来的なプラスマイナスまで計算して…、保険など他の運用法や住宅ローンの繰り上げ返済または借り換えと比較して…、最善のものを選ぶ…。なんて神様にしかできません。

この記事は「マネーの達人」というサイトですが、なんと神様が登場しました(笑)
著者が「神様にしかできない」と考えていることを、わかりやすく丁寧に説明するのが、「マネーの達人」であるFPの役割だと思うのですけれどね。

ただ、この記事の著者は、自らをファイナンシャルプランナーとは名乗っていません。
もしかしたら、FP資格を持っておらず、FPの6分野の勉強をしていない著者なのかもしれません。
記事を全体的に見渡しても、FP資格を持っていれば丁寧に説明するであろうところが、ことごとく不適切な説明になっています。

それに、記事の全体的な観点で、説明なく専門用語を多用している点もよくないと感じます。
一般の方が読んでも、内容を理解できません。
アドバイスをする方は、わかりやすい言いかえも含めて、読み手への気配りが必要ですね。

それに、この記事は論点が途中で飛んだり、本題でないことを冗談めいて書いたり、どうでもよい一言が添えられているなど、ライターとしての腕もどうかな・・・と感じました。
専門家らしさ、信頼感を損ねる雰囲気が出てしまっていて、残念です。

では、最後の指摘です。

そして最後に、私がもっともお得だと感じているふるさと納税が、この確定拠出年金によって制限されることにも触れておかねばなりません。

確定拠出年金は、毎月の拠出金の全額が所得控除されるため、その分所得が圧縮され、とばっちりを喰らってふるさと納税額可能額も圧縮されるのです。

さて、この内容、皆さんは理解できましたでしょうか?
実にいい加減な表現で、普通の方は著者が言いたいことを理解できないでしょう。

私が代わりに概要を説明します。
ふるさと納税は、ある一定の金額(所得と控除額に左右されるため、人によって大きく異なる)までの寄付であれば、自己負担額2000円でお得な返礼品をもらうことができるのが特徴です。
ただ、確定拠出年金によって所得控除を増やすと、このふるさと納税における「一定の金額」が減少するのです。
つまり、所得控除を多くしてしまうと、自己負担2000円でもらえる返礼品の量(金額)も減少してしまう、ということなのです。


2回にわたって確定拠出年金の記事を事例にとり、
・誤解のない説明をするにはどうしたらよいか
・説明すべき観点に漏れがないか
という点をお伝えしました。

世の中にあるお金の記事は、このような配慮不十分なものも多くあります。
様々なお金の知識を身に着けた方は、相手が正しい判断ができる、理解ができる説明を心掛けてほしいと思っています。
 

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posted by FPスキル実践活用勉強会スタッフ at 08:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 年金・社会保険