2016年09月05日

「上場株式の相続税評価を下げる」という税制改正案の使いどころ

みなさま、こんにちは。
FPスキル活用勉強会運営スタッフ(公式サイト管理人)の佐藤です。

相続税の評価において、上場株式は時価で評価することとなっています。
(厳密には、過去3ヶ月の平均価格も加味して低い金額を採用することになっていますが、以下ではこれの考慮も含めて「時価」と表記します)

先日のニュースで、この上場株式の評価方式を見直し、時価より低く評価するような(時価の70%〜90%ほど)税制改正を検討していることが報じられました。本日は、このニュースについて考えてみます。

 
相続税対策として、「賃貸不動産を購入する」というテクニックがあります。
その理由は、路線価が時価の80%程度に設定されており、また借地権割合と借家権割合を評価額から差し引けるので、時価よりも低価格で相続税の計算がなされることにあります。

不動産でこのように評価額を下げることができるので、昔から相続税対策として多くの人が用いている手法です。

 
ところで、なぜ上場株式の評価を下げようと国は考えたのでしょうか。
その理由は「不動産から株式に投資させる」ことにあるようです。
相続によって不動産に流れていく資金を上場株式に向かわせれば、株価を高くできます。
株価を高く維持できれば、国の経済発展の度合いも高まるように見えるので、そういったところを狙っているのかもしれません。

また、必要以上に不動産に資金が流れると、空き家を増やしてしまう原因にもなります。空き家をどうするかは、これから大きな問題になるでしょうから、その歯止めになる一面もあります。

 
さて、ここからは、相続におけるファイナンシャルプランニングの視点で考えていきます。
もし、上場株式の相続税評価額が下がるとなれば、相続対策として事前に現金を株式に変えるべきでしょうか?

私個人的には、積極的にお勧めはしないかなあ、と考えています。

その理由の一つは、税対策の目的でそもそも投資をすべきでないと考えています。
資産運用をするのであれば、その覚悟と知識を持ったうえで行うべきだと考えているからです。
株式は、その価値が安定していません。相続税評価額が下がっても、それ以上に株式が値下がりすることもあります。
その損失を理解し受け入れられる状況が整っており、税対策以外で投資する目的があるのなら、一石二鳥ともなり良いと思います。

もう一つのお勧めしない理由は、株式に変換すること自体が、そもそも相続税対策をしづらくする面があるからです。
株式は、不動産以上に値動きの勢いが強いです。突然に価値が半分になることもあります。
(私は個人的に、何度も経験しています・・・)

株式の比率が高まると、相続財産全体の価値そのものが大きく変動します。
相続税対策には、納税額が低い場合に有効な方法もあれば、納税額が高い場合に有効な方法があります。
万が一の時の相続税額が変化しやすい状況だと、今後の見通しも立てづらく、相続税対策もやりにくくなります。

それに、遺産分割もやりにくくなります。どの財産をだれに相続させるかを決めていても、その価値が大きく変われば、当初の意図通りの分割もできなくなるからです。

 
このような背景も考慮の上で、相続に備えて財産を株式に変換するかどうかを考える必要があります。
相続に備える場合に、株式に変換する以外にも様々な方法がありますからね。

株式の評価減は、来年以降の法改正で実現するかどうかは、今時点では未定となっています。
今後の動向には、注目していきたいと思います。

 
このように、日々のニュースをもとに将来のことを考えられるのも、FP6分野を学んだからこそです。
私の私見をいろいろ書きましたが、みなさまも株式評価減が実現したときの使いどころを、考えてみてくださいね。

 

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posted by FPスキル実践活用勉強会スタッフ at 19:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 贈与・相続・事業承継