2017年04月21日

おひとりさまの相続で出てくる「特別縁故者」の深い話 その3

おひとりさまの相続について、3回にわたってお話をしています。
すなわち誰も相続人がいないケースです。

この場合「特別縁故者」と呼ばれる、かつて亡くなった方と深い縁があった人に財産がわたる、と説明されることが多いです。

でもその実務を見ると、案外、話はそう単純じゃないということを、これまで2回にわたって説明してきました。
今回は、特別縁故者になるための手続きや、特別縁故者にかかる相続税など、実務的な観点で補足いたします。

 
特別縁故者となるためには、家庭裁判所にその旨の申し立てをする必要があります。
申し立てのタイミングも決まっており、申し立てをしなかった場合は、特別縁故者としての地位を得ることはできません。

おひとりさまの死後、遺産の処理が相続財産管理人のもとで進められます。
その過程で、家庭裁判所において相続人を捜索する期限が設けられています。その期限終了後から3か月以内が、特別縁故者となるための申し立て期間となります。
このタイミングを逃さないことが重要です。

ただし、申し立てをすれば特別縁故者に必ずなれる、というものでもありません。
最終的には、申し立ての内容をもとに、家庭裁判所が判断をします。

結果、特別縁故者の地位が認められた場合は、おひとりさまの財産を受け取れることになります。
財産を受け取ると、遺贈により相続財産を取得したとみなされるので、相続税の納税義務が発生します。
以下では、特別縁故者にかかる相続税について補足します。

 
まず、適用される税制や相続に関する法律は、おひとりさまが亡くなった日となります。
特別縁故者として財産を受け取った日の、税制が適用されるわけではありません。
おひとりさまが亡くなってから、特別縁故者に財産が渡るまでは期間を要し、その間に税制改正が行われる場合もありますから、この点は注意が必要です。

相続税の申告と納税は、特別縁故者として財産を受け取れることを知った日の翌日から10ヶ月となっています。原則的な「おひとりさまの死亡から10ヶ月」ではありません。
相続税の計算のもととなる財産評価は、特別縁故者として財産を受け取る時の相続税評価額となります。原則的な「おひとりさまの死亡時点」ではありません。

特別縁故者にかかる相続税は、常に2割加算の対象となります。
そもそも、法定相続人ではありませんからね。

また、特別縁故者が、おひとりさまからその死亡前3年以内に財産の贈与を受けていた場合は、それは相続税の課税価格に加算されます。これは、相続税計算の原則ルールでもあります。

 
以上のとおり、特別縁故者には手続きと納税が必要となります。

これからおひとりさまの相続も増えることが見込まれています。
当初は法定相続人がいたとしても、長寿社会においては相続人のほうが先に死亡し、結果的におひとりさまになるケースもあります。
おひとりさまにアドバイスをする機会には、以上の内容が参考になれば幸いです。
 

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■ 今後の勉強会の開催予定
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●4/22(土) 相続相談事例から学ぶ、計画的な相続対策
2つの相続相談事例を取り上げ、相続に関する問題をどのように解決すれば
よいかを考えていきます。相続における実践力が身につく内容です。

●4/22(土) 資産運用・不動産活用・相続分野でFP業務に役立つIT活用勉強会
ライフプランニング以外で、これら3つの分野でFPの皆様に役立つソフトに
関する情報提供・意見交換を行う内容です。

●5/13(土) FP2級 頻出重要ポイント&難問対策勉強会
●5/21(日) FP3級 頻出重要ポイント(2級基礎)対策勉強会

参加申し込み、勉強会の詳細はこちらから:
http://money-study.net/schedule.htm
※パソコン・スマートフォン両対応のサイトです。

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2017年04月18日

おひとりさまの相続財産、年間400億円が国有財産に

おひとりさまの相続を話題にしている最中ですが、タイムリーなニュースがありました。
おひとりさまが亡くなられた後、誰にも相続されずに国有財産となった財産が、2015年度に400億円以上もあったそうです。

ちなみにこの金額は、ニュース中の発言から推測して、どうやら現預金の額のようです。ということは、これ以外に不動産、金などの実物資産も別で存在するようです。

国有財産となる相続財産の額は、10年前の2.5倍にもなっているそうですが、その背景にあるのが生涯未婚率の上昇と分析されていました。

このように行き場のなくなった相続財産。
国有財産となっても、特別縁故者に受け継がれても、有効に活用していただきたいものです。
 

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2017年04月17日

おひとりさまの相続で出てくる「特別縁故者」の深い話 その2

今日のお話は、下記のFP向け雑誌から。

KINZAIファイナンシャルプラン 2017年3月号
「押さえておきたい!事業承継の法律知識」

 
おひとりさまの相続、すなわち誰も相続人がいないケースです。
この場合「特別縁故者」と呼ばれる、かつて亡くなった方と深い縁があった人に財産がわたる、と説明されることが多いです。

でもその実務を見ると、案外、話はそう単純じゃないことが見えてきます。
 

前回は、特別縁故者の概要についてお伝えしました。
ここで、おひとりさまの死亡後の遺産分割の流れを、もう一度おさらいしておきましょう。

おひとりさまが亡くなる
 ↓
相続財産はいったん「相続財産法人」と呼ばれる法人のものとなる
 ↓
家庭裁判所により、「相続財産管理人」が選ばれる。
(相続財産管理人は、イメージとして「相続財産法人で一番権限を持つ責任者、社長みたいなもの」ととらえてください)
以後、この相続財産管理人のもとで、相続財産の清算手続きが行われる
 ↓
債権者(おひとりさまにお金を貸していた人など)がいれば、その人たちに連絡がなされ、おひとりさまの財産から弁済がなされる
(このように負債財産が優先して処理されるので、これ以後に財産を受け取る人はプラス価値の資産だけを受け取ることになる)
 ↓
この時点でも相続人がいない場合は、特別縁故者に対して相続財産の全部または一部を与える手続きが行われる
 ↓
それでも残った財産は、国庫に帰属(国有財産となる)


前回に、特別縁故者は、財産を受け取る順位が最後になるうえ、財産を取得できる権利も弱いこともご説明しました。
今回は、自分が特別縁故者に該当すると思った場合に、生前にやっておくべきことを書いていきます。
今後の日本社会ではおひとりさまも増えるでしょうから、知っておいて損はない!?かもしれません。

 
自分が特別縁故者に当たると思ったら、最も効果的なのは、自分に財産を相続(遺贈)する遺言を書いてもらうことです。
(これは特別縁故者のケースに限らず、あらゆる場面で自分に有利になるような遺言を被相続人にお願いするときに有効な考え方です)

そのような遺言を書いてくださいとお願いして、いいよ!と言ってもらえる関係なら素敵ですね。
そうでなければ、おひとりさまと交渉して、遺言を書いてもらうことになるでしょう。

みなさんなら、どう交渉に持ち込みますか?(笑)

 
私が考えるその交渉手順を、以下に書いてみます。
参考なれば幸いです。
もっといい方法があるよ!と思われた方は、ぜひ私にも教えてください♪

・おひとりさまの方も、最後まで充実した人生を送りたいと思っているはず。
 だから、その思いを、人生をかけて応援できる人間関係をまずは構築する。
・遺言の話をする前に、こちらから積極的におひとりさまに対して
 「ギブアンドテイクのギブに当たるもの」を提供する。
・おひとりさまが困っているときには、真っ先に相談相手になる。
 もちろん、解決に向けて全力を注ぐ。
・おひとりさまから、「頼りになるパートナー」「人生最後までともに過ごしたい友達」と思ってもらえていることがわかる発言を何度か聞く。それくらいの親密な人間関係を築く。
・このような過程を経て、おひとりさまがどのような財産をお持ちかは、何となく見えてくる。
 (こちらから全財産を聞き出すことはしない)
・ときおり、おひとりさまがお持ちの財産の有効活用について話を切り出す。
 おひとりさまが充実感、喜びを感じるお金の使い方の話題で盛り上がる。
・そのようなお金の使い方を、おひとりさまが亡くなられた後も継続し、実現できたらいいね、という話のネタがあれば話してみる。
・その話の結果、良い感触があれば、おひとりさまが亡くなられた後も、おひとりさまの財産を有効活用し続けるためにも、私に財産を相続する遺言書を書いてくれないか、とお願いする。
・あくまでも、おひとりさまの意思を尊重する。


書いてる途中で、本当にこれでうまくいくかな?なんて疑問も出ましたが・・・
この話の流れの最初に書いた「ギブアンドテイクのテイク」に当たるものが、最後に来るようにストーリーを描ければ、おひとりさまも納得してくれるかもしれません。

一緒に過ごす中で、時にはおひとりさまの看病、介護が必要になることもあるでしょう。
それも当然、ともに乗り越えていく気持ちが、自分の中になければなりません。

・おひとりさまの財産は2番目
・おひとりさまの人生、夢や希望が1番目

となるように接していれば、「財産目当てだったのか!」と言われることもなく、快く遺言を書いてもらえるよう、話を持っていけるのではないでしょうか。

また、ここまで深くおひとりさまとかかわることで、「自分以外に特別縁故者はいない」という状況を作れると考えています(いわゆる囲い込み作戦)
特別縁故者に当たる人は、自分以外に他にいるかもしれませんからね。

と書いてる途中で、やっぱり本当にこれでうまくいくかな?と気になりましたが・・・やっぱり難しいですね、遺言を書いてほしいという要求は。

 
「おひとりさまが亡くなられたら、特別縁故者が財産を受け取れます」というメディアの情報のとおりには、そう単純にはいかないことがお分かりいただいたのではないでしょうか。

次回は、3回にわたる特別縁故者シリーズの最後として、特別縁故者となるための手続きや、特別縁故者にかかる相続税など、さらに実務的な観点で補足をしていきます。

 

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●4/22(土) 相続相談事例から学ぶ、計画的な相続対策
2つの相続相談事例を取り上げ、相続に関する問題をどのように解決すれば
よいかを考えていきます。相続における実践力が身につく内容です。

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●5/13(土) FP2級 頻出重要ポイント&難問対策勉強会
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2017年04月15日

4/22(土)開催の相続勉強会と、FP業務のIT勉強会参加者に、当日の案内メールを送りました

みなさま、こんにちは。
FP勉強会運営スタッフ(公式サイト管理人)の佐藤です。

以前からのお知らせの通り、4/22(土)に次の2つの勉強会を開催します。
・相続相談事例から学ぶ、計画的な相続対策
・資産運用・不動産活用・相続分野でFP業務に役立つIT活用勉強会

この勉強会に参加申し込みをされた方に、当日の案内メールをお送りしました。
申込みされた方は、ご確認をお願いします。
もしメールが届いていない方がいらっしゃいましたら、お手数ですが下記お問い合わせのページより、お知らせ下さい。

【お問い合わせのページ】
http://money-study.net/contact.htm

 

勉強会当日は、いつものように集まった皆さんで、楽しく学べる雰囲気で進めていきます。
有意義な勉強会にいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします!

なお、定員までまだ余裕はあります。
参加希望の方は、下記案内をご参照の上、どうぞお申し込み下さい。

 

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■ 今後の勉強会の開催予定
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●4/22(土) 相続相談事例から学ぶ、計画的な相続対策
2つの相続相談事例を取り上げ、相続に関する問題をどのように解決すれば
よいかを考えていきます。相続における実践力が身につく内容です。

●4/22(土) 資産運用・不動産活用・相続分野でFP業務に役立つIT活用勉強会
ライフプランニング以外で、これら3つの分野でFPの皆様に役立つソフトに
関する情報提供・意見交換を行う内容です。

●5/13(土) FP2級 頻出重要ポイント&難問対策勉強会
●5/21(日) FP3級 頻出重要ポイント(2級基礎)対策勉強会

参加申し込み、勉強会の詳細はこちらから:
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2017年04月14日

おひとりさまの相続で出てくる「特別縁故者」の深い話 その1

今日のお話は、下記のFP向け雑誌から。

KINZAIファイナンシャルプラン 2017年3月号
「押さえておきたい!事業承継の法律知識」

 
おひとりさまの相続、すなわち誰も相続人がいないケースです。
この場合「特別縁故者」と呼ばれる、かつて亡くなった方と深い縁があった人に財産がわたる、と説明されることが多いです。

でもその実務を見ると、案外、話はそう単純じゃないことが見えてきます。

 
おひとりさまが亡くなると、次のように遺産分割が進んでいきます。

おひとりさまが亡くなる
 ↓
相続財産はいったん「相続財産法人」と呼ばれる法人のものとなる
 ↓
家庭裁判所により、「相続財産管理人」が選ばれる。
(相続財産管理人は、イメージとして「相続財産法人で一番権限を持つ責任者、社長みたいなもの」ととらえてください)
以後、この相続財産管理人のもとで、相続財産の清算手続きが行われる
 ↓
債権者(おひとりさまにお金を貸していた人など)がいれば、その人たちに連絡がなされ、おひとりさまの財産から弁済がなされる
(このように負債財産が優先して処理されるので、これ以後に財産を受け取る人はプラス価値の資産だけを受け取ることになる)
 ↓
この時点でも相続人がいない場合は、特別縁故者に対して相続財産の全部または一部を与える手続きが行われる
 ↓
それでも残った財産は、国庫に帰属(国有財産となる)


法人ビジネスに詳しい人なら、「株式会社の清算」と似ていることがわかりますね。

過去に実際に特別縁故者になった人の事例として、次のケースが挙げられています。
・相続人ではないが同一生計だった人(親族のほうが認められやすいようです)
・療養看護に努めた人(寄与分が認められる程度の貢献度が必要と思います)
・50年以上の付き合いのある弟子
・個人に限らず学校法人や宗教法人

 
次に、特別縁故者の要件と権利についてまとめてみます。

特別縁故者は、家庭裁判所により決定されます。
なので「私が特別縁故者です」と主張しただけでは、特別縁故者とはなれないのです。

この記事でも紹介されていますが、包括受遺者がいる場合は、その人に財産が優先して遺贈されてしまいます。要は相続人と同じ扱いになるので、おひとりさまの死亡なのに「相続人がいる」扱いとなってしまいます。
この場合、特別縁故者の候補者だった人(特別縁故者になることはできないですから)は、結果的に財産を受け取れないことになります。

また、特別縁故者の候補者だった人は、遺言の無効を裁判で申し立てる権利がないことも、この記事で触れられています。特別縁故者になれなかった以上、遺産相続とは無縁の人とみなされるからです。
仮に、遺言がおひとりさまの意思に反して書かれた場合であったとしても、です。
このような場合には、相続財産管理人に訴訟を起こしてもらう必要があります。

 
ここまで、特別縁故者に関することを書いてきました。
特別縁故者は、財産を受け取る順位が最後になるうえ、財産を取得できる権利も弱いことがお分かりいただけたと思います。

次回は、自分が特別縁故者の候補者となれる場合に、事前に行っておくべきことは何か、について書いていこうと思います。

 

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■ 今後の勉強会の開催予定
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●4/22(土) 相続相談事例から学ぶ、計画的な相続対策
2つの相続相談事例を取り上げ、相続に関する問題をどのように解決すれば
よいかを考えていきます。相続における実践力が身につく内容です。

●4/22(土) 資産運用・不動産活用・相続分野でFP業務に役立つIT活用勉強会
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参加申し込み、勉強会の詳細はこちらから:
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